先日、『羊と鋼の森』の映画を観てきました。
一昨年の本屋大賞に選ばれた、ピアノ調律師を題材にした宮下奈都さんの作品です。
原作を読んだときに、よく仕事の内容が描かれているなという印象でしたので、
映画も楽しみにしていました。
主人公の若い調律師が成長していく物語なんですが、一人前の調律師として外回りを始めるも、
お客様から「音が今までと違う」とクレームをつけられたりするシーンでは
昔を思い出して胸がキュンとなりました。
学校でひと通りの事は勉強しますが、現場に出ると思いもよらなかった様々な事に直面しますから、上手くいかなくて頭が真っ白になったり冷や汗タラタラになったり。
そうやって経験を積んでいくしかないんですよね。
私は専門学校を卒業して、地元の楽器店に就職したのですが、
仕事にお伺いする度に「あら、女の人なの?」と言われました。
田舎でしたので女性の調律師は地域にまだいなかったのです。
若いということもあり頼りないのか、部品を外したりするのを心配されたり、
手伝ってくれたりと、ありがたいような情けないような…
しかも新しい楽器店のため、調律の先輩もいなくて簡単に相談もできず、
不安でしたね~
このままでいいのか、といつも悩んでいて
冬のある日、母校に遊びに行ったところ、女子の入学者が増えたので女性の先生を募集するから
試験を受けてみないかと誘っていただきまして、
「受けます!」と即答しました。
そしてありがたいことに採用していただきまして、それから9年近くも学校に勤めることになりました。
それにしても役者さんとは本当にすごいですね!
皆さんお上手でしたけど、特に三浦友和さんの演技は素晴らしく
特に弦を張るしぐさとか、
「もう調律師にしか見えないね~」と
仕事仲間と話しました。
地味なお仕事ですが、やはりスポットライトが当たるのは嬉しいことです。